今ではなく、ここではない、もう一つの世界。
そこには、神秘とロマンに満ちた大海が広がっていた。
その向こうに何があるのか知る者はなく、またそれを知るすべもなかった。自らの手で海へと漕ぎ出し、自らの眼でそれを確かめる以外は。
あまたの船乗りたちが、自慢の船を駆り、航海へと旅立った。

そこに広がるのは、めくるめく神秘の世界。
異なる肌の色を持ち、異なる言葉を話す人々が住む、さまざまな国がある。
見たこともない奇妙な生物が宙を舞い、地を駆け、海を渡る。
燃える火の山。見渡す限りの冷たい氷原。島すら飲み込むほどの巨大な竜巻。

広大な海の彼方に広がる世界に、誰もが夢をはせた、そんな時代。
船乗りたちが必ず一度は耳にし、あこがれる伝説があった。
その伝説こそが、メルヴェイユである。

メルヴェイユ。この世界の何処かにあるという、うたかたなる奇跡。
ある者はそれを、目もくらむほどの莫大な財宝の名だと言い、またある者は、海の神々が住むこの世の楽園だと信じた。
その実体は誰も知らず、辿り着いて帰ってきた者はいない。
だが、それでもなお、この伝説は世界中の冒険者たちに語り継がれているのだ。

そしてここにもまた、伝説に導かれ、奇跡を目指す者たちがいた……。

港湾国家チェイテの王女、ファナ・チェイテは、ある日イルカに似た不思議な生き物を砂浜で拾った。
「お父様が話してくれた伝説、『メルヴェイユ』に住む生き物に違いない……」
以前から、その生き物が楽園のような場所で戯れる姿を何度となく夢で見ていたファナは、迷わずそう信じ込み「奇跡」を意味するクリエと名付けた。

次第に打ち解けあい、心が通じるようになってきたものの、クリエは日増しに元気を失ってゆく。
故郷に帰りたいのだと察したファナは、悩んだすえ、国を出て『メルヴェイユ』を探す旅に出る決意をするのだった。

王であるファナの父親は、娘の決意が固いことを知って渋々それを許し、旅立ちに際して、ファナがまだ赤ん坊の頃に病でこの世を去ったファナの母親、チェイテ王妃の形見を授けた。

不思議な輝きを放つ青い宝石、それこそは、持つ者をメルヴェイユへ導く「波のかけら」であった。

「波のかけら」はいくつも存在する。
互いに共鳴し合い、新しい石の在りかを指し示す。そして、全てがそろったとき、メルヴェイユへの道が開かれるのだ。

時を同じくして、メルヴェイユを目指し、旅に出た6人の若者がいた。

メルヴェイユ探索の旅に出たまま行方知れずとなってしまった兄を探している、ボーイッシュで元気な女の子、キャル。
志半ばで死んだ老海賊の意思を継ぎ、受け継いだ海賊船でメルヴェイユを目指す少年海賊、アレクシス。
女海賊に助けられ、自分の故郷を探す人魚の少女、ミーニャ。
メルヴェイユの保護、そして海賊や未確認船団を取り締まる任を帯びた、海上治安維持連合軍、M.S.A.F.の新任副官、コノハ。
生まれ故郷を盾に取られ、とある国の王からメルヴェイユ探索を命じられた「星詠み」の巫女、コリエル。
そして、メルヴェイユを神聖視する一族を代表し、俗人の手に渡る前に封印する使命を与えられた男、ティエン。

みな、それぞれの場所で「波のかけら」を手にし、それぞれの目的で冒険の海へと漕ぎ出したのだ。

やがて「波のかけら」は共鳴し合い、彼ら7人の男女を引き合わせる――。
そして、共に唯一なるメルヴェイユを目指すがゆえ、新たな「波のかけら」をめぐって時には争い、また時には協力し合う――不思議な関係が芽生えるのだった。

海神の眠る島、ナァ・ナーダ島。
きらびやかな一大観光地、ホキサン島でのバトルレース。
火山の大噴火以降、海難事故と幽霊騒ぎの絶えない“呪われし大陸”。

……そして今、「波のかけら」の指し示す輝きに導かれ、物語はとある海域に舞台を移しつつある。
青い光がつむぎ出した、運命の糸に引き寄せられて――。

キミも、この物語に早く参加しよう!

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